ピル
ピルは、エストロゲン・プロゲスチン混合のホルモン剤です。もともと、避妊目的にて内服されていましたが、ピルに、副効用(良い作用):生理痛が楽になる、生理の量が減って楽、生理周期が順調に、生理前の症状改善、にきびや多毛の改善、卵巣がんのリスク低下、などがあることがわかり、様々な症状で使われています。その他にも、子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)が小さくなり、痛みが少なくなる、子宮内膜症の術後の内服で、再発予防に有効、子宮体がん・良性乳房疾患・大腸がんのリスクが減る、などの副効用があります。
※2025年6月日本初のミニピル(スリンダ錠28)が発売となりました。
個々の状態、希望により、どの種類を使用するかは相談していきましょう。
ピル内服時の注意点
副作用
図に示しましたが、一番注意していきたいのは、血栓症(血管の壁に血のかたまりができる状態)です。
血栓症を疑う症状(足のむくみ、痛み、圧痛、赤み、発熱など)があり、心配なときは服用を中止し、必ずご相談ください。時に救急受診が必要なこともあります。
ミニピル
ミニピル(スリンダ錠28)は、2025年6月に日本で承認された新たな経口避妊薬です。
これまで日本で承認されてきたピルとは異なり、エストロゲンを含まないプロゲスチン単剤です。血栓症の原因となり得るエストロゲンを含んでいないため、従来のピルの内服ができなかった方、血栓症リスクのある方、喫煙者、肥満、高血圧、脂質異常症、40歳以上、前兆を伴う片頭痛のある方でも、安全に服用できることが最大のメリットです。
避妊効果については、①脳から分泌されるゴナドトロピンというホルモンの分泌を抑えて排卵を抑制し、②子宮内膜を薄くすることで着床を防ぎ、③子宮頸管粘液の粘稠度を高めて精子の子宮内への侵入を防ぐ、という3つの作用機序があります。
アフターピル:緊急避妊
緊急避妊の処方をしております。ご心配な方は、性交後72時間以内に来院ください。
当院ではノルレボ錠を処方しています。100%避妊できるとはいえませんが、妊娠する危険を減少させます。
月経移動
スケジュール的に月経を移動させたい場合、内服薬(プラノバール)で日程調整できます。
低用量ピルと同様、血栓症のリスクの高い方には処方できないこともありますので、ご相談させてください。
避妊リング
ミレーナ(IUS:子宮内避妊システム)は、子宮内に装着することで避妊の効果を得る避妊具です。一般に、「避妊リング」とも呼ばれています。 レボノルゲストレルというプロゲスチン(黄体ホルモン)を継続的に放出し、子宮内膜を薄い状態で維持することで、受精卵の着床を防ぎます。 また、月経困難症や過多月経の治療にも用いられ、保険適用となる場合もあります。これらの効果が最長で5年ほど継続します。ピルを服用できない方でも、安心して使用することができます。
避妊について
ピル・ミニピル・避妊リング使用により、ほぼ100%避妊効果が期待できるため、コンドームをつけずにセックスしてしまうことがあります。そのため、性感染症にかかることがあります。感染防止するために、コンドームはしっかり着用しましょう。
ピル・ミニピル・避妊リングを使用したことにより、妊娠しづらくなることはありません。内服・使用を中止すれば、すぐに妊娠できる状態に戻ります。