月経痛
月経痛には、機能性月経困難症と器質性月経困難症があります。
月経痛の原因が、子宮や卵巣の形状にあるかどうか、超音波検査にて確認させていただき、ない場合には、鎮痛剤などの対症療法、漢方治療、低用量ピルの選択があります。
ある場合は、図にあるような様々な治療の中から、相談して選択決定していきます。
手術を選択する場合は、ご紹介させていただきます。
月経不順
正常月経は、月経周期日数が25日~38日、出血持続日数が3~7日です。
月経不順とは、次の月経までの間隔(周期)が、25日未満、または39日以上かかる状態のことをいいます。
無月経は、妊娠していないにもかかわらず3ヶ月以上月経がない状態を指します。
無月経には、18歳以上になっても月経が始まらない原発性無月経と、いったん発来した月経が3ヶ月以上停止する続発性無月経があります。
原発性無月経の原因は、染色体異常、腟や子宮などの性器の先天異常、ホルモン異常などにより、続発性無月経の原因は、妊娠、授乳、急激なダイエット、肥満、強いストレスや環境の変化などによるホルモンバランスの乱れなどがあります。
排卵障害を起こす多嚢胞性卵巣症候群、乳汁分泌の症状がみられる高プロラクチン血症(下垂体腺腫、薬剤性)、などといった疾患が原因となることもあります。
- 急に月経がこなくなった
- 周期がバラバラ
- 月経か不正出血かわからない
といった症状がある際は、受診をお勧めいたします。
超音波検査とホルモン検査を行うことで、診断し、経過観察できる状況なのか、投薬が必要か、判断していきましょう。必要に応じ、MRI検査、手術治療を行うこともあります。
リンクは、※月経困難症、※月経前緊張症/月経前不快気分障害についての図です。
当てはまる症状があり、日常生活に支障がある方は、是非ご相談ください。
低用量ピルや漢方、対症療法など、ライフスタイルに沿った治療をご提案させていただきます。
卵巣腫瘍
卵巣にできる腫瘍のことをいい、様々な種類がありますが、その発生起源から、表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。
症状は、お腹が張って苦しい(腹部膨満感)、下腹部痛、頻尿などがありますが、小さいうちは無症状で経過することが多く、ほとんどわかりません。大きくなったり、腹水がたまったりしてから、症状が出現することが多いのです。時に腫瘍が破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあります。
診断は超音波検査で、あるかないかは、容易に可能です。また、これにより良・悪性の診断もある程度可能です。境界悪性腫瘍や悪性腫瘍を疑った場合は、詳しく調べる必要があるので、MRI検査や腫瘍マーカーの測定を行います。これらの結果から、総合的に良性腫瘍か、境界悪性腫瘍か、悪性腫瘍なのかを判断します。この段階の診断を、術前診断とし、手術術式を決めますが、最終的には、手術で摘出した腫瘍の病理組織検査によって、診断が確定します(術後診断)。
治療は手術療法が原則であり、悪性腫瘍の場合、その多くは術後に抗がん剤による化学療法が必要となります。
当院では、手術を必要としない卵巣腫瘍の場合、症状、超音波検査による大きさの推移の確認をし、経過観察を行っていきます。手術が必要な方は、術前診断の説明後、ご紹介いたします。
おりもの・かゆみ
おりもの(帯下)は、体調やホルモン状態のバロメーターでもあります。腟には常在菌がいて、他の細菌が腟を通して身体に入ってくるのを防いでくれています。通常は、白色少量ですが、排卵期は透明な粘りのある分泌物が増えます。
おりものの異常は、下記のような疾患が原因で起きます。
カンジダ症は、かゆみが強くなることが多く、トリコモナス、淋菌、クラミジアなどの性感染症の場合は、早期治療が必要になりますので、当てはまる症状がある場合は、早めにご相談ください。
おりもの の状態 |
その他の 状態 |
疑われる 病気 |
白くて豆腐のカスのようにポロポロしている。 |
外陰部のかゆみ |
膣カンジタ症 |
黄色、もしくは黄緑色っぽい。 泡が混じることもあり、悪臭がすることも。 |
外陰部のかゆみ |
膣トリコモナス症 |
白、もしくは黄色っぽい。 膿状であることも。 |
腰痛や下腹部痛や発熱 |
淋菌感染症、性器クラミジア感染症、非特異性膣炎、骨盤腹膜炎 |
妊娠希望のタイミング指導
病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせずセックスをもつと、一定期間内に大多数の方が妊娠します。ですので、一定期間を過ぎても妊娠しない場合は、早めの検査をお勧めします。
世界保健機構(World Health Organization: WHO)では2009年から不妊症を「1年間の不妊期間を持つもの」と定義しており、米国の生殖医学会でも2013年に「不妊症と定義できるのは1年間の不妊期間を持つものであるが、女性の年齢が35歳以上の場合には6ヶ月の不妊期間が経過したあとは検査を開始することは認められる」とを提唱しています。
日本産科婦人科学会でも、「その期間については1年から3年までの諸説あり、2年というのが一般的でしたが、1年に短縮」としています。結婚年齢が高くなった日本でも、早期の対応へ移行してきています。
妊娠を希望し、パートナーとの関係があるものの、なかなか妊娠しない…そのような方は、“治療をする?しない?”を考えず、まず検査をしましょう。
妊娠しない理由は、女性因子、男性因子があり、原因によっては、最初から自然妊娠が厳しいケースもあります。どのような背景で悩まれているのか、ご相談ください。
※妊娠が成立するまでのおおよその過程は次のようになります。
卵巣から卵子が排卵⇒卵子と精子が卵管内で出会い受精⇒受精卵となる。
受精卵は、卵管内で成長しながら子宮へ移動⇒子宮内膜に着床します。
これが妊娠までのプロセスで、着床から妊娠がスタートします。
「妊娠しやすさ」は、女性の年齢により大きく変化しますが、個人差も大きく影響します。年齢が上がり、特に30歳台後半になると、年ごとに妊娠し難くなります。そして、45歳を過ぎると、たとえ排卵や生理があっても、赤ちゃんを作ることの出来る強い卵子はできなくなってしまうために妊娠の可能性はほとんどなくなります。
当院では、個々の月経周期を確認、超音波検査、ホルモン検査を行い、自然妊娠可能と考えられる方には、タイミング指導を行います。超音波検査による卵胞や子宮内膜の計測、尿中LH、子宮頚管粘液の状態の観察等により排卵日を推測し、チャンスを持つ日を指導いたします。
それ以上の検査が必要な方、また35歳を超えている方は、専門のクリニックにご紹介いたします。