骨盤臓器脱
骨盤臓器脱とは、骨盤内の臓器が「腟」や「肛門」から脱出してくる疾患の総称であり、子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・直腸脱など様々なものがあります。
子宮、膀胱、直腸などの骨盤臓器は、靭帯や膜で支えられており、これが出産で傷ついたり、加齢につれて弱くなったりすることで骨盤臓器脱が生じてきます。
昔からある疾患であり、この骨盤臓器脱で悩んでいる方は非常に多く、全国で数百万人はいると考えられています。ただし、この病気はまだ広く認知されておらず、羞恥心のために我慢している方も数多くいるのが現状ですが、自然に治ることはありません。
また、痔核などの肛門疾患、便失禁などの排便障害、子宮筋腫などの婦人科疾患、尿失禁などの排尿障害を合併することもあり、大腸・肛門外科、婦人科、泌尿器科などが連携して診療にあたる必要があります。
なりやすい人の傾向
お産の回数が多く、更年期を過ぎた方は、出産時のダメージに加え、加齢によって臓器を支える力が弱くなっているため注意が必要です。
最近では、若い人や1、2回の出産でも脱が起きるようになってきています。
これには生活様式の変化も関係しているようです。昔は畳の部屋に着物、というスタイルが一般的でしたが、これは常に骨盤底筋を鍛える動作を促します。スクワットを自然な所作の中で行っているようなものです。
しかし、椅子にテーブルという生活では、下半身の筋肉を使うことはあまりありません。
現代では意識して運動しなければ、骨盤臓器脱は防げないということになります。
また、お腹に力が加わると骨盤底にかかる負担が大きくなるため、重い物を持つ仕事、便秘、肥満の方はなりやすいとされています。

